kondou製作所のブログ

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スピーカーエンクロージャーによる音のこもりの話 2

こんにちはKondou製作所です。

 

これより先は特に諸説のある内容なので鵜呑みにしないで下さい。

 

さて、昨日の続きです。

スピーカーのエンクロージャの発展・進化は1枚板の平面バッフル式から後方開放型へ、そこから密閉型、さらにバスレフ型へと移り変わっていくと考えてもらいますと分かりやすいかと思います。

実際の進化の実態は良くわかりませんけれど、昔のステレオセットやラジオなんかは普通に後方開放型でした。

 

で、密閉型にダクトをつけただけで(ダクトは条件に会わせた設計が必要)バランスの良い音響特性、小型化しやすいなどのメリットのあるバスレフ型になるのですが、バスレフポートからクセのある低音が出るとか少しこもったような音がしたりします。最初は気にならなくても長く聞くと鮮度が落ちて聞こえるようになります。

そんな感じで、フルレンジスピーカーユニットのみで製作すると高音不足が気になるといったことがあります。

 

細かいことを言わなければフルレンジスピーカーユニットでもまぁまぁ高音は出ます、出てます。

スピーカーユニットだけを鳴らせば低音は出ませんが高音不足を感じないとてもクリアな音がします。

それをエンクロージャに取り付けると音が何故かこもってしまうのです。(例外もあります

 

多くの場合

「フルレンジスピーカーなんだからそんな音しか出ない」

 

「高音用スピーカー(ツイーター)を増設しよう」

という流れになります。

 

実際に、かつてバスレフ型スピーカーの次の進化は高音用スピーカーユニットの増設へと進みました。(後方開放型でもツイーターを追加した物はありました

 

しかし、エンクロージャに取り付けなければ高音もまぁまぁ良く聞こえるキレイな音だったのにどういうことなのか?

 

おそらくその理由の幾ばくかは「箱鳴り」です。

スピーカーエンクロージャーは小さな部屋のようなものです。

部屋の中というのは音がこもった音に変化しやすいのです。それが私が「箱鳴り」という聞きたくない音の正体であり、音をこもらせて高音不足に感じさせる理由のひとつです。(全てではないです

パッと聞くとそんな音がしているのかわかりませんが、エンクロージャ内部の音はどうしても前から出る音に影響を与えます。

なお、単純な構造の平面バッフルなどはスピーカーユニットの後ろで音がこもることがないので低音は稼ぎにくいのですが高音不足の少ないキレイな音がします。

 

さて、この箱鳴りを改善できれば、効果的な高音質化が可能となります。

そもそも音がこもっているのに、そこへ何か別に音を付け足して良い音に聞こえるようにしても上手くいかないのは、何となく想像していただけると思います。

不味い料理にいくら水やお酢や砂糖や塩を入れてもなかなか美味しい料理に出来ないようなもんです。

 

さて、スピーカーが箱形であることで起きる音質低下や、バスレフポートをつけたことによるこもった感じはどうしたら良くなるのか?

 

まぁ、根本的に解決する事はできませんので軽減策となります。

 

その方法は主に2つ(私が行っていること

ひとつは

音楽再生中にエンクロージャ内圧が高くなりすぎないようにする事

二つ目は

エンクロージャーのサイズと形状を工夫すること

 

まず、内圧についてですが、高くなるとスピーカーユニットの動きが損なわれるのはもちろん、内圧が高い状態が続くと「ボコボコ」こもったように鳴ったりします。

ちょうど市販品でこれを改善、解決したといってよい内容の製品があります。

それはダブルバッフルスピーカーやマイクロピュアといった製品です。

どちらもスピーカーユニットの取り付け部の辺りに隙間をもうけて、そこから空気をある程度抜きつつ音がこもるのを防ぎ、エンクロージャ中の音は漏らさないような仕組みです。

実際、どこまで効果があるかというのは理屈だけでなく実際のチューニング、調整も大切になってくると思います。

また、バスレフスピーカーであってもエンクロージャのサイズやバスレフダクトを検討する際にこのようなスピーカーがあることを知っていると音質を調整するのに活かせると思います。

この他にもバスレフダクトのような物を取り付けて、バスレフとしてではなくエンクロージャ内部の空気を抜きつつ外にエンクロージャ内部の音を漏らさないようにしてこもり感を軽減する方法もあります。

 

二つ目のエンクロージャ形状やサイズによる対策ですが、タイムドメインスピーカーは分かりやすい参考となります。

タイムドメインスピーカーは独自理論にて高音質を実現するスピーカーですが、フルレンジスピーカーユニットでスピーカーを自作するのに参考になる構造がたくさん盛り込まれています。

 

まず形状ですが卵形か円筒型です。

これはどちらも箱ではないのでこもり感のある箱鳴りがしません。

卵形は極めて音の劣化が少なく、内部の音が外に漏れてもこもり感が少ない音でクリアに聞こえやすいです。

円筒型、パイプ型は「筒鳴り」がしますが、箱鳴りよりは癖が少なく、適切に対処すればこもりの少ない音が楽しめます。

 

卵形のエンクロージャは製作は個人ですと3Dプリンターが使いこなせないと難しいと思いますが、パイプ形であれば市販の紙管(ボイド管)や塩ビ管が利用可能です。

実際に紙管や塩ビ管での作例も結構あります。

筒鳴りの対策は内部にバスレフダクトなような構造を1つから2つ設けてその位置を調整するとか、中で音を拡散させるためにシワをつけた中手の厚紙を壁面に沿わせて入れることでかなり押さえられます。

自動車のマフラーを参考にしても消音しても良いかもしれません。

筒型のタイムドメインスピーカーではパイプ状のエンクロージャ内部に吸音材を多く配置して空気の抜けを確保しながらエンクロージャ内で発生する不要な音の吸収をしているようです。

 

そしてスピーカーのサイズによる音質のコントロールですが、圧の高まりを防ぐために大きくする場合はかなり大きくしないと音質にメリットを感じられるような効果が得られません。また、大きくすると設置性に問題が出ますし、強度の問題が出ますし、平面バッフルのようなスピーカーユニットの制動が難しいスピーカーになります。

 

逆に小さくしますと圧が高まりやすく、低音が出にくく、内部の反射音が大きく、また喧しく(やかましく)なることもあります。

ですので、大音量で聞くスピーカーの場合は少し大きめのサイズ、小音量で使うスピーカーなら小さめに作るといった具合に、適切なサイズで作るとこもり音や内部の反響による音質を上手くいなせるかと思います。エンクロージャのサイズ自体をチューニングの要素として考えても良いかもしれません。

そのようなことを頭においてバランスをとりながら自分はスピーカーの製作を行っています。

 

ご参考になれば幸いです。

 

次回は現在制作中のスピーカーについて記事にしたいと思います