kondou製作所のブログ

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SMC PENTAX−DA 18−55mm AL F3.5−5.6 のクラッチについて

こんばんは、日暮です。

先日「SMC PENTAX−DA 18−55mm AL」を分解した際に誤ってAF作動の為のギヤケースというか、クラッチ機構を分解してしまいました。

このギヤケースというのはカメラボディーのAF駆動用モーターから来た動力をピントリング機構へ伝え、その一方でピントリングを手動で動かした場合にはカメラボディー側のAF駆動用モーターとの連結を切るもので、AFでピントを合わせた後に手動で微調整が出来る大変便利な機構となっています。

ちなみに所有はしていませんが「SMC PENTAX−DAL 18−55mm」ではこのギヤケース(クラッチ機構)がないようです。それ以外の構造はほぼ同じようでレンズの分解手順はほぼ同じですが、構造が異なるギヤケースの部分のみ特別に注意が必要です。

注意といってもギヤケース部分を分解しなければ良いだけです。バヨネットマウントを外すとAF駆動用のカップリングがあり、その下に三角形の金属プレートが3本のネジで固定されています。この3本のネジを外すとアウト!日頃細かい物を分解している人ならともかく多くの人が組み立て不能になります。

レンズの分解掃除をする場合は3本のネジを外さずにその近くにある2本のネジを外してギヤケースアッセンブリーを取り外せばOK。

万が一、3本のネジを外してしまったら???

1.内部のスプリングが入っている為カップリングギアが浮いてきます。

2.カップリングギアに乗っている鋼球がこぼれ落ちます。

3.鋼球を失ったら見つけるのは至難の業。1mm以下の砂粒といっていいほど小さな鋼球です。元々何個入っているかもわからないですし、どこに入っていたかもわからなくなるでしょう。

4.さらにうっかりその内部まで分解してしまったら??? クラッチ機構の中心部には2種7個の顆粒のようなローラーベアリグ?のような物が入っており、しかも1種4個のローラーベアリングには「どうやら向きがあるらしい」

と、いうわけで、大げさかもしれませんが多くの人がここを分解したらもう元には戻せません。


しかし、もし「ばらしてしまった」ら?

写真がなくて申し訳ないですがテキストで。

1.鋼球の数はおそらく10個 もしくは11個のようです(多分10個)

2.鋼球はカップリングギアをよく観察するとふちが高くなって鋼球がこぼれないような構造になっていますので鋼球が上に入っていたか下に入っていたかがわかります。極少量のグリースをカップリングギアの鋼球の乗る部分につけてそこに鋼球を取り付ける感じで組み立てます。

3.カップリングギアの下の中心にはバネが入っており、その下にクラッチ機構そしてクラッチ機構が入る大きなギアがあります(大きいといっても10mmもないですが)。

クラッチ機構ですが、大きなギヤの中に平ワッシャ・真鍮スペーサー(ローラーベアリングを保持するパーツ)真鍮スペーサーの中には軸が入っています。軸の入っている真鍮スペーサーに外からローラーベアリングを組んで大きなギアーの内部に挿入します。

ローラーベアリングは4本ある種類のものは一本ずつの両端を良く見ると尖り具合が違います。尖っている方が下側(組んだ状態でレンズキャップ側)だったと思いますが失念しました。とにかく向きをそろえて組み立て動作がおかしければ向きの上下を変えてみてください。

次にそのスペーサー下部に3個のローラーベアリングがありますが軸に対して平行に組むと動作しないようです。これは回転軸に対して垂直に組む物のようです。この点に関しては憶測ですが平行に組んだときに動かなかったので多分垂直だろうという程度の話しです。すみません。
オリジナルがどうだったか不意にバラバラにしてしまった自分にはわかりませんが上記のように組まないと正常動作しなかったのでそれが正解だと思ってます。

ローラーベアリングですが、これも組み立て時にポロポロこぼれていつどこに飛んでいってしまうやらわからない物です。
ですのでグリスの粘度を利用してローラーベアリングを組み立てたいところですが、この部分はクラッチ機構ですのでつけるグリスの種類や量によっては滑ってしまい正常に動作しない可能性があります。当方は下部の3個のローラーベアリングについてはグリスを付け上部の4個についてはほとんどつけずに(極わずかにつける)で組み立てして動作を確認しました。柔らかいグリスでもおそらくベアリングの保持は出来ると思いますので、なるべく柔らかいグリスを少量使うのがいいかと思います。

わかりにくい参考図↓

   バ
   ネ

 ス 軸 ス
■ぺ 軸 ぺ■←長めのローラーベアリング(■2個で表示 
■│ 軸 │■ (向きはこの図では縦
 サ 軸 サ
 │ 軸 │
 ■ 軸 ■←ローラーベアリング(向きはこの図では横)
 平ワッシャー
   軸
   軸
↑これが大きなギヤー内部に納まります。


大きなギヤーの内部にクラッチ機構を組み込んだらギヤケースに大きなギヤーをいれます。この時少量のグリースを大きなギヤの外周に塗ってもいいかもしれません。ギヤケースに入れたら、軸の中心にバネをセットし鋼球の乗ったカップリングギヤーを載せ、三角形のプレートを載せ3本のネジで固定します。

なお、ネジは一度に締めずに最初一本ずつ少しずつ締めてカップリングギヤーとクラッチ機構の軸をかみ合わせます。かみ合う一以外で無理に締めこむと壊れますので大きなギヤーが回転しないように指で押さえながらカップリングギヤーをマイナスドライバーで回してかみ合う位置を探します。プレートをどの程度3本のネジで締め込んで様子を見るのかというのは勘ですので、少し締め込んで(プレートが大体平行であるように)カップリングギアを回してみるを繰り返して、無理にプレートを締め込んで変形させたりギヤケースを破損させたりしないように気をつけます。

以上でクラッチ機構の組み立ては終わりです。

とにかく分解・組み立てにあたっては落ち着いて、パーツは常にこぼれ落ちる物と思って、こぼれてもいいように分解するレンズの下には柔らかい布をしいて出来れば床上で寝そべって作業するのが良いかと思います。作業中、とにかく鋼球やローラーベアリング、スプリング、ネジがいつどこに飛んでいくやらわからない状況です。硬い机の上で作業をしようものなら、こぼれた途端、弾んで飛んでいったり、転がっていったり、いつパーツを紛失しても仕方がないような状況になります。工具の磁化している物をうまく使ってパーツを保持したり、磁化していない工具を使って作業したり、グリスのわずかな粘度を利用してパーツを仮固定したり繊細な作業となります。

当方は組み立て中にパーツがこぼれ落ちたり、組み立てミスによる組みなおしなどの試行錯誤をしていた結果2日間合計約4時間は浪費しました。このクラッチ機構は基本的には絶対に分解してはいけません。組み立てられないのが普通ですし、無事に組み上げられたとしても、組み立てに使った潤滑油・グリースによっては本来の耐久性が出ない可能性も高いかと思われます。

万が一ばらしてしまった人のがいたらと思い記事にしましたが、参考になる人がいないのが一番です。とりあえずこうすれば動作はするようになるという程度に考えていただければと思います。

なお、レンズの分解組み立てに関しては自己責任で行い、十分な下調べをしてから作業にかかって頂きたいです。貴重なレンズがただのゴミになる可能性もありますし、作業によっては思わぬ怪我をする可能性もあります。

それではこの辺で失礼します。


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