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エレキット ディスクリートポータブルヘッドホンアンプ「TU−HP02」 レビューその1

こんばんは、日暮です。

と、いうわけでお待ちかね?のレビューであります。
肝心の音質についてのレビューは中ほどとなりますのでお急ぎの方はスクロールしてください。

■TU−HP02ブログレビューに申し込む

1月8日にメールで配信された「エレキットストアニュース」。読んでみるとTU−HP02のブログレビューを募集との事。ネタに飢えていた当ブログではメールを見てすぐに応募しました。(笑 大好きなエレキットのレビューがさせてもらえるんですからありがたい話です。実はTU−HP02を知ったのは実はこの時が初めて(^−^;

■TU−HP02って?

詳しくはエレキットさんのサイトを見ていただければと思うのですが、オペアンプなどのIC(ひとつの部品の中にたくさんの部品が入っているもの)を使わず、個別の半導体を組み合わせて作られるディスクリートという形式で増幅回路が構成されたポータブルヘッドホンアンプです。さらに真空管に良く似た特性を持つFETという素子を使い、半導体でありながら真空管のようなサウンドが楽しめるというものです。
エレキットの真空管アンプには「TU−」から始まる型番がついていますが、真空管を使っていないのに「TU−」の名を冠しているところにこだわりを感じます。
ディスクリートにすることで部品点数が増え、コストが掛かりますが音質はより追求できるようです。

■TU−HP02が来た!

TU−HP01の時と良く似た箱ですが、サイズが大きい?  と、言うのも今回は電源が単3サイズの電池を使用するために本体のサイズが大きくなっているから。
箱を開けますと中には取扱説明書とオーディオプレーヤーに接続するケーブルと本体が入っています。

本体はアルミ製でヘアライン加工がされた直線的な筐体ですがシンプルで当方好みです。色気がないと見るかかえって色気があるように見えるかは見る人次第(笑
外見を過度にこだわっていない分、音質に期待が高まります。


■TU−HP02を使ってみる!

まずは電池を入れます。
とりあえず手持ちのニッケル水素充電池です。

底の部分のノブネジを回すと基盤や電池ボックスが一体となった本体が出てきます。TU−HP01は底蓋をはずして電池ボックスが出てくる方式でしたが今回変わりました。

これが実は重要で、可能性の話ではありますが電池ボックスを取り出す方式では電池ボックスを出し入れしているうちに電池ボックスと本体をつなぐ配線が切れる恐れがあるわけですが、電池ボックス一体型の本体を取り出す方式であればそうした心配は要りません。
実際、TU−HP01では些細なことではありますが電池の交換が面倒だと感じていましたし、エレキットさんとしても改良されたということなのでしょう。TU-HP01ではネジを2本緩めて電池を交換していましたが1本だけになっています。

余談ですが、こうやって電池交換の度に簡単に電池ボックスと一体となった本体も出てくるのですが高級車のボンネットかのようにメイン基盤の上にはカバーがされており電子パーツを拝むことは出来ません。(エレキットさんの商品ページには電子回路部分の写真が掲載されています)それはちょっと残念ですが、オペアンプの交換が想定されたTU−HP01とは違い、TU−HP02ではそういったこともないので電子回路はカバーした方がトラブルの防止にもなりますし、TU-HP01とは違い電池交換の度にメイン基盤が外部に露出するTU−HP02ならではの工夫かもしれません。

また、大変重要な事として電源が入手の容易な単3型電池を使っている点はとても良いです。安定したアルカリ電池などを用いてもいいですし、繰り返し使える充電式電池を使ってもいいです。専用の特殊な形状の電池では後々入手や交換が面倒になることも考えられますが、そういった心配がまったくいりません。長く安心して使えますし電池が切れてもすぐに入手できます。当方がそうなのですが長く使いたい方には選択要素として重要なところだと思います。

TU−HP01では単4電池でしたが単4と単3とではおおよそ電池のもちが倍違うという話を聞いたこともあります。この電源部の強化も嬉しい改良ポイントです。(この辺りの話はエレキットさんのサイトにある開発インタビューにもあるので読むといいかも?)
電源スイッチはボリュームと兼用でつまみを回すと緑色のランプが点灯します。これはTU-HP01と同じです。また、電池が少なくなると赤色に色が変わるのも同じです。

■初めて聞いてみる!

ヘッドホン ULTRASONE PROline550(自作ショートケーブル&イヤパッドを上位機種の物に変更)
       ULTRASONE PRO750
       audio technica ATH−A900
       audio technica ATH−AD2000
       AKG K702
       ipod 付属イヤホン

プレーヤー PanasonicのポータブルCDプレーヤー(ラインアウト付ですのでその端子を使って接続します。古いものですが電池駆動で低ノイズ。ライン出力はそこそこの音ということで。)

音楽ソース リアルグループ コモンリー・ユニーク(今後違うソースでも試聴・レビューしていきたいです)

ゲイン選択:High

まず自分が最初にチェックするのは残留ノイズのレベルです。結果、ヘッドホンによるかもしれませんが無信号時にノイズは感じられません。ここは個人的にこだわりたいところなのでとても好印象。
なお、電源投入時のポップノイズは若干あります。

そして肝心の音質です。
エージングもまだだと言うのに美しく伸びる高音、十分な量感がある上で解像度の高い低音、そしてエレキットさんが拘ったというだけある心地の良い柔らかさを感じる音質です。
低音から高音までバランスが良く、柔らかさを感じる音質ながら解像度が低いわけではなく見通しの良いはっきりした音です。初めて聞いていきなりこれだけの音が出るとは驚くばかり。 エージングが進むことでさらに良くなるのでしょうか?!今後に期待が持てます。

(もしこの音質で気になることがあるならば、まず本体よりもその周辺の再生機器やイヤホン・アクセサリーなどを変更してみるといいかも?)

今まで聞いてきたヘッドホンアンプと比較してみてもこれだけバランスよく聞かせるヘッドホンアンプは中々ない気がします。変な誇張や突飛な音作りはなく自然な音に感じられます。あえて言えば太く濃い音でありながら嫌味がない。その自然さは「このアンプはどこ製だ」とか「ディスクリートだから」とか「価格がいくらする」とか、そんな知識がない状態で聞いても自然に「ああ、いい音だな・・・」と思える、そんな音です。たしかにエレキットさんの商品説明にあったように真空管アンプに通じる音質に思えます。

乱暴な評価で「高音よりか?低音よりか?」そんな事を言う時もありますがこのヘッドホンアンプは本当にバランスがよいです。複数のヘッドホンを試して思ったのですが、高域域もはっきりしていますし、不明瞭になりがちな低音域も十分な量感でありながらボワつかず明瞭です。ナローな音質で聞き心地がいいのとは違うと思います。その上での暖色系サウンドと言ったらいいのでしょうか?
ボーカルも美しく明瞭で、滑らかで艶が感じられます。

そんな音質ですのでヘッドホンを変えればちゃんとそれぞれのヘッドホンの個性を感じられます。
密閉型のヘッドホンでは密閉型らしいしっかりとした低音が出ますし、オープンエアーのヘッドホンであればさわやかで抜けの良い音が楽しめます。ヘッドホンの弱点を補うのではなくヘッドホンの良さを引き出す、そんなポジティブな印象を持ちました。

ここまで割と良い評価ばかりのつもりですが試聴機を提供して頂いているからとエレキットさんにゴマをすってるわけではありません。もちろん、TU-HP02の他にもすばらしいヘッドホンアンプはあると思いますが、この点は聞く人によって違うからと言うことでご容赦ください。「良い音」とは人それぞれですしその時次第ということもあります。
(よく聴く音楽ジャンルや使っているヘッドホンや再生機器によってもまったく変わる場合もありえますよね)

そういった前置きの上ではありますが、とても良い音です。
なんといいますか、柔らかな聴き心地は音楽を聴きたくなりますし、パートごとの音が綺麗で解像度の高い音は音楽を聴く楽しみを感じさせてくれます。

■まとめ

TU−HP01に続くエレキットさんの2作目のポータブルヘッドホンアンプTU−HP02。
真空管へのこだわりから生み出されたTU-HP01から真空管の音にこだわりながらも振動に強く音の良いディスクリートへ挑戦したTU−HP02。そして、ただ挑戦したというだけでなくその音質も完成度の高いものに仕上がっていると感じました。

さまざまなヘッドホンアンプが販売されている中でTU−HP02をどう評価したらいいのかというのは悩みますが、真空管式を好む方には半導体でここまでできるという事を、真空管式を使ったことのない方へも真空管に近い個性を持った音質のヘッドホンアンプとしてぜひ一度聴いてみてほしいなと。「真空管アンプキットメーカーが作るディスクリートヘッドホンアンプ」これが一番の見所かと思います。

価格が税込み29,700 円ということで、「この価格なら他のディスクリートが買える」とか「据え置き型が買える」と思われてしまうかもしれませんが同じパーツを仮に使ったとしても同じ音が出せると言うものではないと思います。

個人的にはこれだけの音質のヘッドホンアンプを持ち歩けるっていう事に魅力を感じます。据え置きの真空管ヘッドホンアンプは持ち歩くことは不可能ですし、電池管を用いたヘッドホンアンプも振動や信頼性の問題を無くすことはできません。あと、とってつけたようなことを言えば据え置き型アンプで陥る電源アクセサリー地獄も電池式のこのアンプには存在しません(笑

■最後に

TU−HP02の魅力は結局のところ「聴いてみないとわからない」と思います。
今回、試聴させて頂きまして、当方としては聴いてみる価値があるアンプだと思いました。
エレキットさんの開発者インタビューもぜひご覧になってください。TU−HP02に懸ける熱い思いだけでなく、ところどころにある博多弁にホッコリします(笑
http://www.elekit.co.jp/pages/TU-HP02.php

また、当ブログとしてモニター期間中にTU−HP02でいろいろな音楽を聴いたり使用していて気づいたことなども引き続き記事として書いていきたいと思います。

長々と乱文をお読みいただきありがとうございました。

文末となりますがこのような機会を与えてくださいました株式会社イーケイジャパン様に感謝を申し上げます。
ありがとうございました!

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